“刺繡で綴る日々の装い” 蓬莱和歌子
レースのような漢字の連なりに反応して手に取った。
中川 李枝子さんと大村百合子さんの絵本で”たからさがし”が好きなのだけど
この絵本に出てくるうさぎのおばちゃんの装いに似ている。
綿や麻素材の服、袖口のレース、スカートの広がり、
耳を隠した黒髪に金縁の眼鏡。
モデルさんの小道具が素敵な本。
蓬莱和歌子さんの刺繡作品のテキストブックだけど、
刺繡を志さない人でも読める本。
蓬莱さんが綴った言葉がいい。
” なつかしい記憶やふわふわとした空想、
日々の暮しの中でふと感じるときめき……
そんな自分の内側に無意識に降り積もった曖昧なイメージの欠片が
ひと針ひと針、時間をかけて、布に輪郭を成し、
本書の作品となりました。 ”
私も、ふと想いだしては悲しげな気持ちになる少女時代の記憶。
カフェの窓から外を見た時によぎるつかめない空想。
好きな色やレースやまっすぐなこどものまなざしや暮しの中でふと感じるときめき。
胸にそっと抱えて本の香りをかぎたくなるよふな。
素直に素敵な本だなと思いました。
蓬莱さんは” 装いは、日々の中で今の自分の気持ちにいちばん寄り添ってくれる存在 “と。
私は二人の男の子の母親で、10年前の自分を振り返っても
おそらく忙しい時間を送っているのだろうけれど、
今がいちばん好きな服を自由に着ている気がします。
忙しいからと不思議と手を抜く気になれなくて、
これは、何かの縁とかそこに意味を見出したりするよふなものじゃなくて、
ひっそりと積み重ねた時間の果てに巡ってきたものであって、
けして特別なことではないのだと。
その他に近頃手に取った本は
” 愛されすぎたぬいぐるみ ”
” しらゆき べにばら ”
二冊とも出会えて良かったと素直に想える本。
私の宝物になりそうな本。
二月の寒い寒い冬の日に、
どうやらこんな気分になるらしい。。。
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